境黒彦皇子
- 名前
- 境黑彥皇子【日本書紀】(さかいのくろひこのみこ, さかひのくろひこのみこ)境黒彦皇子
- 境之黑日子王【古事記】(さかいのくろひこのみこ, さかひのくろひこのみこ)境之黒日子王
- 坂合黑彥皇子【日本書紀】(さかあいのくろひこのみこ, さかあひのくろひこのみこ, さかいのくろひこのみこ, さかひのくろひこのみこ)坂合黒彦皇子
- 黑彥皇子【日本書紀】(くろひこのみこ)黒彦皇子
- 黑日子王【古事記】(くろひこのみこ)黒日子王
- 性別
- 男性
- 没年月日
- 安康天皇3年8月9日
- 父
允恭天皇 【日本書紀 巻第十三 允恭天皇二年二月己酉条】
- 母
忍坂大中姫命 【日本書紀 巻第十三 允恭天皇二年二月己酉条】
- 先祖
- 出来事
-
安康天皇3年8月9日【日本書紀 巻第十三 安康天皇三年八月壬辰条】
この時に自分の兄弟を疑った天皇後の雄略天皇を指すは坂合黒彦皇子を問い詰めた。
皇子は害が及ぶことを知って座ったまま語らなかった。
天皇の怒りはさらに強まった。またあわせて眉輪王も殺そうと思って罪を調べて問うた。
眉輪王は「私はもとより皇位を望んではおりません。ただ父の仇を報いただけでございます」と言った。坂合黒彦皇子は深く疑われることを恐れて密かに眉輪王に語った。
遂に人がいなくなった隙を見て外に出ると、共に円大臣の家に逃げ込んだ。天皇は使いを遣わした。
大臣が使いを出して答えて言うには「人臣に事あるときに王宮に逃げ込むということは聞きますが、君王が臣の家に隠れるということは聞いたことがございません。まさに今、坂合黒彦皇子と眉輪王が深く私の心をたのみとして私の家にいらっしゃいました。どうして送り出すことが出来ましょうか」と。これにより天皇は益々兵を増やして大臣の家を囲んだ。
大臣は庭に出て脚帯 袴の裾をくくる紐。を求めた。
大臣の妻は脚帯を持ってくると悲しみ傷ついて歌を詠んだ。「
飫 瀰 能 古 簸 多 倍 能 波 伽 摩 嗚 那 那 陛 嗚 絁 儞 播 儞 陀 陀 始 諦 阿 遙 比 那 陀 須 暮 」
大臣は装いを済ませて軍門に進み出て拝礼して言うには「私は誅されようとも、あえて命を承ることはございません。古の人は云います。『匹夫の志も奪うことは難しい』と。まさに今の私に当たります。伏してお願い申し上げます。大王、我が女 の韓媛と葛城の領地七ヶ所を献上することで、罪を贖うことをお聞き入れ下さい」と。
天皇は許さずに火をつけて家を焼いた。
大臣・黒彦皇子・眉輪王は共に焼け死んだ。時に坂合部連贄宿禰は皇子の屍を抱いて焼け死んだ。
【日本書紀 巻第十四 雄略天皇即位前紀 安康天皇三年八月条】
その舎人名は不明とある。どもは焼けた遺骸を取り収めたが、骨を選び分けることは難しかった。
一つの棺に入れて新漢 の擬本 『擬の訓みは未詳で、槻(つき)であろうか』とある。の南の丘に合葬した。