れきち

姉の豊玉姫が海郷に帰ると、そこに留めおかれて、姉の子である彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊を養育をする。

豊玉姫はその子が端正であることを聞いて、心にひどく憐れみが募り、また帰って養育したいと思ったが、義に背くので、妹の玉依姫を遣わして養育させた。
この時豊玉姫は玉依姫に寄せて、報歌(かえしうた)を贈った。

豊玉姫命は、久しくして「天孫の御子を、この海の中に置くのは宜しくない」と言って、玉依姫に抱かせて送り出した。

豊玉毘売命は、その御子を養育するという理由で、妹の玉依毘売を託して歌を献上した。

豊玉姫命はその子の端正を聞いて、心に甚だ憐れみを重ね、また帰って養いたいと思ったが出来なかった。それで妹の玉依姫命を遣わして養わせた。
即ち召して一児が誕生した。武位起命という。

まず彦五瀬命が生まれた。
次に稲飯命。
次に三毛入野命。
次に狭野尊。またの名は神日本磐余彦尊。狭野というのは、年少時の名である。後に天下を平定して、八洲(やしま)を治めた。それでまた名を加えて神日本磐余彦尊という。

まず五瀬命が生まれた。
次に三毛野命。
次に稲飯命。
次に磐余彦尊。またの名は神日本磐余彦火火出見尊。

まず彦五瀬命が生まれた。
次に稲飯命。
次に神日本磐余彦火火出見尊。
次に稚三毛野命。

まず彦五瀬命が生まれた。
次に磐余彦火火出見尊。
次に彦稲飯命。
次に三毛入野命。

天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命は、その姨の玉依毘売命を娶り、
生まれた御子の名は五瀬命。
次に稲氷命。
次に御毛沼命。
次に若御毛沼命。またの名は豊御毛沼命。またの名は神倭伊波礼毘古命の四柱。

御毛沼命は、波穂を踏んで常世国に渡った。
稲氷命は、亡き母の国である海原に入った。