天富命は日鷲命の孫を率いて、良い肥えた地を求めて阿波国に遣わして、穀・麻の種を植えた。
天富命は更に肥沃な地を求めて、阿波の斎部を分けて東の地に行って、麻・穀を植えた。良い麻が育ったので総国(ふさのくに)といい、穀の木が育ったので結城郡(ゆうきのこおり)という。古語に麻を総(ふさ)という。 今、上総(かみつふさ)・下総(しもつふさ)の二国とするのはこれである。 阿波の忌部が居る所は安房郡(あわのこおり)という。今の安房国がこれである。
天富命はその地に太玉命の社を立てた。今は安房社(あわのやしろ)という。それでその神戸に斎部氏が在る。
(成務天皇元年1月5日 ~ 成務天皇60年6月11日)
志賀高穴穂朝の御世に天穂日命の八世孫弥都侶岐命の孫大伴直大滝を以って国造に定め賜う。