素戔嗚尊は「韓郷の島には金銀がある。もし我が子の治める国に、舟が無かったら良くないだろう」と言って、鬚髯を抜いて放つと、杉の木になった。また胸の毛を抜いて放つと、これが檜になった。尻の毛は槙の木になった。眉毛は樟になった。そしてその用いるべきものを定めて、「杉と樟はの二つの木は、舟にするのがよい。檜は瑞宮の木材にするのがよい。槙は現世の人民の棺にするのがよい。そのための沢山の木の種を皆撒こう」と言った。この時素戔嗚尊の子の五十猛命。妹の大屋津姫命。次に枛津姫命。この三神はよく木の種を撒いた。紀伊国に渡り、祭られている。
【日本書紀 巻第一 神代上第八段 一書第五】