兄磯城
- 名前
- 兄磯城【日本書紀】(えしき, 𛀁しき)兄磯城
- 兄磯城命【日本書紀】(えしきのみこと, 𛀁しきのみこと)兄磯城命
- 兄師木【古事記】(えしき, 𛀁しき)
- 志貴縣主兄磯城【先代旧事本紀】(しきのあがたぬしえしき, しきのあがたぬし𛀁しき)志貴県主兄磯城
- 生年月日
- ( ~ 戊午年9月5日)
- 没年月日
- 戊午年11月7日
- 出来事
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戊午年9月5日
神武天皇が
【日本書紀 巻第三 神武天皇即位前紀 戊午年九月戊辰条】菟田 の高倉山 の頂に登って国を眺めたとき、兄磯城の軍が磐余邑 に満ちて、道を塞いでいた。 -
戊午年11月7日
皇軍は大挙して
【日本書紀 巻第三 神武天皇即位前紀 戊午年十一月己巳条】磯城彦 を攻めようとした。
まず使者を遣わして兄磯城を呼んだ。兄磯城命は応じなかった。
さらに頭八咫烏を遣わした。烏はその軍営に着くと「天神の子がお前をお呼びだ。さあ、さあ」と鳴いた。
兄磯城は怒り、「天圧神 が来たと聞いて憤っているときに、なぜこんなに悪く鳴くのか」と言った。そして弓を引いて射たが、烏は去っていった。
次に弟磯城の家に着くと「天神の御子がお前をお呼びだ。さあ、さあ」と鳴いた。
弟磯城は恐懼して「私は天圧神がお出でになったと聞いて、朝夕恐懼しております。烏よ。お前が鳴くのは善いことだ」と言うと、葉盤八枚 を作り、食物を盛って饗した。そして烏に従って到着すると「私の兄の兄磯城は天神の御子がお出でになると聞いて、八十梟帥 を集めて武具を整え、まさに戦おうとしています。速やかに準備するべきです」と言った。
諸将を集めて「兄磯城はやはり逆賊の心があり、呼んでも来ない。どうすればよいか」と問うた。
諸将は「兄磯城は悪知恵が働く賊です。まず弟磯城を遣わして諭させ、あわせて兄倉下と弟倉下に説かせてください。それでも帰順しないのであれば、それから挙兵しても遅くはありません」と答えた。
そこで弟磯城を遣わして利害を示したが、兄磯城らは愚かにも謀を守り、承伏しなかった。
時に椎根津彦が謀って言うには「今はまず私が女軍 を遣わして忍坂 の道に出ます。賊はこれを見て、必ず精鋭を出すでしょう。私は強兵を馳せて直ちに墨坂 を目指し、菟田 川の水を取って、その炭火にそそぎ、驚いている間に不意をついて出れば、破ることが出来るでしょう」と。
天皇はその策を誉め、女軍を出してみた。賊は大軍が来たと思い、力を尽くして迎え撃った。
はたして男軍 は墨坂を越えて、後ろから挟み撃ちにして破り、その梟帥兄磯城らを斬った。
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