一事主神
- 名前
- 一事主神【日本書紀】(ひとことぬしのかみ)一事主神
- 一言主之大神【古事記】(ひとことぬしのおおかみ, ひとことぬしのおほかみ)一言主之大神
- 葛城之一言主大神【古事記】(かずらきのひとことぬしのかみ, かづらきのひとことぬしのかみ, かつらぎのひとことぬしのかみ)葛城之一言主大神
- 一言主大神【古事記】(ひとことぬしのおおかみ, ひとことぬしのおほかみ)一言主大神
- 葛木一言主神【先代旧事本紀】(かずらきのひとことぬしのかみ, かづらきのひとことぬしのかみ, かつらぎのひとことぬしのかみ)葛木一言主神
- 父
素戔嗚尊 【先代旧事本紀 巻第四 地祇本紀】
- 先祖
- 出来事
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雄略天皇4年2月
雄略天皇は葛城山で狩りをした。
不意に現れた長身の人と谷で出会った。容姿が天皇に似ていた。
天皇はこれを神と知ったが、あえて「どこの公であるか」と尋ねた。
長身の人は「現人神である。まずはあなたの諱を名乗りなさい。然る後に名乗ろう」と答えた。
天皇は「朕は幼武尊である」と答えた。
長身の人が次に名乗って「私は一事主神である」と言った。
そして共に狩りを楽しんだ。
一頭の鹿を追って矢を放つことを譲り合い、轡を並べて馳せた。
言葉も恭しく、仙人に逢ったかのようだった。日も暮れて狩りも終り、神は天皇を送るために
【日本書紀 巻第十四 雄略天皇四年二月条】来目水 までやってきた。
この時に人民の悉くが「徳の有る天皇だ」と言った。-
天皇は葛城山に登った。
百官の人らはみな紅い紐をつけた青摺の衣服を賜っていた。
その時、向いの山の尾根伝いに山を登る人がいた。
その様子は天皇の鹵簿 行幸の列。に等しく、またその身なりや従う人々も互いに似て違いはなかった。
天皇がその様子を見て問うには「この倭 国には自分を除いて王はいないのに、今誰が同じような様子で行くのか」と。
すると答える様子もまた天皇の言葉のようだった。
天皇が激怒して弓に矢をつがえると、官人らもまた皆が矢をつがえた。その人らもまた皆が矢をつがえた。
それで天皇がまた問うには「それならばその名を名乗れ。それぞれが名乗りを上げてから矢を放とう」と。
これに答えて「私が先に問われたので私が先に名乗ろう。私は悪い事も一言、善い事も一言で言い放つ神、葛城之一言主大神である」と。
天皇はこれに畏怖して「恐れ多いことです。我が大神よ。現実のお方とは気が付きませんでした」と言うと、大御刀・弓矢をはじめ、官人らの着る服を脱がせて拝礼して献上した。
するとその一言主大神は拍手をして捧物を受け取った。それで天皇が還幸する時、その大神は山の峰から
【古事記 下巻 雄略天皇段】長谷 の山の入り口まで奉送した。
この一言主之大神は、この時に顕れたのである。
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