石長比売
- 名前
- 石長比賣【古事記】(いわながひめ, いはながひめ)石長比売
- 磐長姬【日本書紀】(いわながひめ, いはながひめ)磐長姫
- 石長姬【先代旧事本紀】(いわながひめ, いはながひめ)石長姫
- 性別
- 女神
- 親
大山津見神 (大山祇神 )【日本書紀 巻第二 神代下第九段 一書第二】
- 先祖
- 出来事
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天津日高日子番能邇邇芸能命は
【古事記 上巻】笠紗 の岬で美人に出会った。そこで「誰の女 か」と尋ねると、「大山津見神の女で、名は神阿多都比売といい、またの名は木花之佐久夜毘売と申します」と答えた。また「そなたに兄弟はあるか」と尋ねると、「私の姉の石長比売がおります」と答えた。そこで「私はそなたと結婚したいと思うがどうか」と言うと、「私には申し上げることは出来ません。私の父の大山津見神が申し上げましょう」と答えた。それでその父の大山津見神のもとへ所望の遣いを出すと、大いに喜んで、その姉の石長比売を副えて、沢山の品物を置いた机を持たせて差し出した。その姉は容姿がとても醜かったので、見て恐れをなして送り返した。ただその妹の木花之佐久夜毘売だけを留めて、一夜を共にした。
大山津見神は、石長比売を送り返されたことを大いに恥じて、「我が女を二人並べて奉ったわけは、石長比売をお使いになれば、天神の御子の命は、雪が降り風が吹いても、つねに岩のように堅固で揺るがないでしょう。また木花之佐久夜毘売をお使いになれば、木の花が栄えるように、御繁栄なされますようにと祈って差し出したのです。この石長比売をお返しになり、木花之佐久夜毘売一人をお留めになるということは、天神の御子の御寿命は、木の花のようにはかなくいらっしゃるでしょう」と言った。
それで今でも天皇方の命は長久ではないのである。-
大山祇神は沢山の捧げ物を持たせて二人の娘を天津彦火瓊瓊杵尊に献上した。
【日本書紀 巻第二 神代下第九段 一書第二】
しかし皇孫は、姉の磐長姫は醜いので召さずに返し、妹の木花開耶姫は美人なので召して交わり、一夜で妊んだ。
それで磐長姫は大いに恥じ、呪って言うには「仮に天孫が、私をお退けにならずにお召しになれば、生まれる御子は命は永く、磐石でおられたでしょう。しかし妹のみをお召しなりましたので、生まれる御子は、必ずや木の花のように散り落ちることでしょう」と。
あるいは磐長姫は恥じ、恨み、唾を吐き、泣いて「現世の人々は、木の花のように、しばらく移ろいで衰え去ることでしょう」と言ったという。
この世の人の命の短いことは、これがもとである。
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