八色雷公
- 名前
- 八色雷公【日本書紀】(やくさのいかずち, やくさのいかづち)
- 八雷神【古事記】(やはしらのいかずちがみ, やはしらのいかづちがみ)
- 出来事
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伊邪那岐命は妻の伊邪那美命を見たいと思い、追って黄泉国に行った。御殿の戸から出迎えてくれたときに、伊邪那岐命は「愛する我が妻よ。私とお前が作る国はまだ作り終わっていない。だから帰ろう」と言った。しかし伊邪那美命が答えて言うには「悔しいです。来て下さるのが遅かったのです。私は黄泉の食物を口にしました。しかし愛する我が夫が訪れて下さったことは恐れ多いこと。だから帰りたい思いを黄泉の神にお話ししてみますが、決して私を見てはなりません」と。このように話してその御殿の内に入ったが、その間がとても長く、待ちきれなくなった。そこで左の
【古事記 上巻】角髪 に挿した湯津津間櫛 の端の太い歯を一本折り、一つ火を灯して入り見た。すると蛆がたかっており、体は腐り溶けていた。頭には大雷 がおり、胸には火雷 がおり、腹には黒雷 がおり、陰部には拆雷 がおり、左手には若雷 がおり、右手には土雷 がおり、左足には鳴雷 がおり、右足には伏雷 がおり、合わせて八柱の雷神が成り出ていた。-
伊奘諾尊はその妻を見たいと思って、殯の場所にやって来た。このとき伊奘冉尊は生前と同じように出迎えて共に語った。伊奘諾尊が言うには「我が
夫君尊 。どうか私を御覧にならないでください」と。言い終わると突然見えなくなった。この時は暗闇だったので、伊奘諾尊は一つ火を灯して見た。
伊奘冉尊はひどく膨れ上がっていた。上には八色雷公があった。伊奘諾尊は驚いて走って帰った。このとき雷たちが皆立ち上がって追って来た。そのとき道のそばに大きな桃の樹があった。それで伊奘諾尊はその樹の下に隠れた。そしてその実を採って雷に投げた。雷たちは走って逃げた。これが桃を用いて鬼を避ける由縁である。八つの雷というのは、首にあるのは
【日本書紀 巻第一 神代上第五段 一書第九】大雷 という。胸にあるのは火雷 という。腹にあるのは土雷 という。背にあるのは稚雷 という。尻にあるのは黒雷 という。手にあるのは山雷 という。足の上にあるのは野雷 という。陰部の上にあるのは裂雷 という。
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- 関連
意富加牟豆美命 伊奘諾尊が投げた桃の実。