景行天皇は熊襲八十梟帥、厚鹿文・迮鹿文を討伐する為、その女の市乾鹿文・市鹿文を欺いて召した。
天皇は市乾鹿文を偽って寵愛した。
時に市乾鹿文が天皇に言うには「熊襲が服従しないことを憂えてはなりません。私に良い謀りごとがあるので、一人二人の兵を私にお付け下さい」と。
そして家に帰ると、沢山の酒を準備して父に飲ませた。すると酔って寝た。
市乾鹿文は密かに父の弓弦を断った。そして従ってきた一人の兵が熊襲梟帥を殺した。
天皇は甚だしい不孝を憎み、市乾鹿文を殺した。
【日本書紀 巻第七 景行天皇十二年十二月丁酉条】