吉備弟君

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名前
  • 氏(ウジ):吉備【日本書紀】
  • 姓(カバネ):臣【日本書紀】(お
  • 名:弟君【日本書紀】(お
性別
男性
没年月日
雄略天皇7年
  • 吉備上道田狭きびのかみつみちのたさ【日本書紀 巻第十四 雄略天皇七年是歳条】
  • 吉備稚姫きびのわかひめ【日本書紀 巻第十四 雄略天皇七年是歳条】
先祖
  1. 吉備上道田狭
  2. 吉備稚姫
    1. 吉備上道臣
配偶者
  • 樟媛くすひめ【日本書紀 巻第十四 雄略天皇七年是歳条】
出来事
  • 雄略天皇7年

    吉備上道臣田狭が御殿のそばに侍り、さかんに稚媛のことを友人に褒め語って「天下の美人でも私の嫁にかなう者はいない。気品があって様々な良いものを備えている。明るく温和で全てが整っている。化粧をする必要もない。久しい世にも類まれで今の世では抜きん出ている」と。
    雄略天皇は耳を傾けて遠くで聞いて心の中で悦んだ。そして稚媛を求めて女御としたいと思った。

    天皇は田狭を任那の国司に任じた。

    しばらくして天皇は稚媛を召し入れた。
    田狭臣稚媛を娶って兄君・弟君が生まれている。

    田狭は任地に赴いてから天皇がその妻を召し入れたことを聞いて、援助を求めて新羅に入ろうと思った。
    この時期、新羅と日本は不和だった。

    天皇は田狭臣の子の弟君と吉備海部赤尾に「お前が行って新羅を罰せよ」と詔した。
    このとき側にいた西漢才伎(かわちのあやのてひと)西漢氏に管理された大陸系帰化工人。が進み出て「もっと優れた者が韓国(からのくに)には多くおります。召し上げてお使い下さい」と奏上した。
    天皇は群臣に詔して「それでは歓因知利を弟君らに副えて百済に遣わし、併せて勅書を下して優れた者を献上させよ」と。
    弟君は命を受け、衆を率いて百済に入った。

    その国に入ると国神が老女に化けて忽然と路に現れた。
    弟君は行き先が遠いのか近いのか尋ねた。
    老女は「さらに一日歩いたらたどり着くでしょう」と答えた。
    弟君は道が遠いと思って征伐せずに帰った。
    百済が奉った今来(いまき)才伎(てひと)帰化工人。を大島の中に集めて風待ちに託けて久しく留まり月を重ねた。

    任那(みまな)国司の田狭臣は弟君が帰ったことを喜んだ。
    そして密かに百済に人を遣わして弟君を戒めて言うには「お前の首領はどれほど堅固で人を討てるというのか。伝え聞くところによると天皇は我が妻を召して既に子供もいるという。今恐れることは我が身に禍が及ぶこと。備えておくべきだ。我が子のお前は百済に留まって日本に帰るな。私は任那に留まって日本には帰らない」と。

    弟君の妻の樟媛は国家を思う心が深く君臣の義は確かだった。忠心は白日を越えて節は青松のそれに過ぎていた。
    それでこの謀反を憎んで密かにその夫を殺して部屋の下に隠して埋めた。

    【日本書紀 巻第十四 雄略天皇七年是歳条】
    • 吉備臣弟君は百済から帰還して漢手人部(あやのてひとべ)衣縫部(きぬぬいべ)宍人部(ししひとべ)を献じた。

      【日本書紀 巻第十四 雄略天皇七年是歳条 或本云】