天智天皇3年12月
淡海国が言うには、「坂田郡(さかたのこおり)の人小竹田史身の猪の水桶の中にいつの間にか稲が生じました。身が取って収めると、日に日に富が増えました。栗太郡(くるもとのこおり)の人磐城村主殷の新婦の部屋の端に、一晩の間に稲が生じて穂がつきました。翌朝には熟れて穂が垂れました。翌日の夜にはまた一つの穂が新婦の庭に出て、二個の鍵が天から落ちてきました。婦(おんな)はそれを取って殷に渡しました。殷は富を得るようになりました」と。