秋山之下氷壮夫

  • twitterでツイートする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
名前
  • 秋山之下氷壯夫【古事記】(あきやまのしたひおとこ, あやました)秋山之下氷壮夫
性別
男神
出来事
  • 八十神(やそがみ)伊豆志袁登売を得たいと思ったが、だれも結婚することが出来なかった。

    ここに二神がいて、兄の名は秋山之下氷壮夫。弟の名は春山之霞壮夫という。
    それでその兄が弟に言うには「私は伊豆志袁登売を望んだが、結婚することは出来なかった。お前はこの少女を得ることが出来るか」と。
    答えて「たやすく得ることができます」と。
    そこでその兄が言うには「もしお前がこの少女を得ることが出来れば、私は上下の衣服を脱ぎ、身の丈を計って、同じ高さの甕に酒を醸そう。また山や河の産物を悉く準備して賭けの物としよう」と。
    そこでその弟は兄の言ったとおりに詳しく母に伝えた。
    その母は藤葛を取って、一夜の間に衣・(はかま)(したぐつ)(くつ)を織り縫い、また弓矢を作って、衣や褌を着させ、その弓矢を持たせて、その少女の家に行かせた。
    その衣服や弓矢はすべて藤の花に変化した。
    そこでその春山之霞壮夫は、その弓矢を少女の家の厠に掛けておいた。
    伊豆志袁登売はその花を怪しんで、それを持って来ると、その少女の後について、その母屋に入るや否やまぐわった。そして一子を生んだ。

    そこでその兄に、「私は伊豆志袁登売を得ました」と言った。
    その兄は、弟が結婚したことに腹を立てて、その賭け物を渡さなかった。
    それで弟が嘆いてその母に訴えると、母は「この現世の事は、よく神に見習うべきです。それなのに現世の人々に見習って賭け物を償わないのでしょうか」と答えて、その兄である子を恨んだ。
    すぐに伊豆志河(いずしがわ)の中洲の節竹(よだけ)を取って、目の多い荒い籠を作り、その河の石を取って塩に合わせて、その竹の葉に包んだ。
    そして「この竹の葉が青く茂るように、この竹の葉が萎むように、茂ったり萎んだりせよ。またこの塩が満ちたり干たりするように、満ちたり干たりせよ。またこの石が沈むように、沈み臥せ」と言って呪った。
    このように呪詛してから竈の上に置いた。
    これによって、その兄は八年の間、萎むように病み衰えた。
    それでその兄は苦しみ泣いてその母に許しを請うと、すぐに呪いの品を返した。するとその体は本のように健康になった。
    これが「神うれずく」という言葉のもとである。

    【古事記 中巻 応神天皇段】
関連
  • 春山之霞壮夫はるやまのかすみおとこ【古事記 中巻 応神天皇段】